【熊本・球磨川】日本三大急流をパックラフトで攻める!渡から球泉洞まで。

旅の記録

こんにちは。
ついにこの時がやってきました。

そう。
九州エリアに暮らす我々にとってはラスボス的な存在、と言っても良いかもしれない。
日本三大急流のひとつとしても数えられる、
球磨川へ行ってきました。
ああ本当に。
ついに、この時が来た。


椎名誠さん率いる怪しい探検隊が球磨川を下ったのは、およそ40年前。
彼らが残した映像や、野田知佑さんの著作から、いつかは必ず行きたいと思っていました。

令和2年には豪雨災害で、一時は壊滅的な状況になってしまった球磨川。
そして野田知佑さんは逝去され、バトンは我々に託されたまま。
いつ球磨川に行けるのか、行くべきか、行くべきではないのか、ずっとタイミングを見計らっていました。

そんな時に、中津の盟友でんでんさんから、
「熊本方面で用事があります。せっかくなんで球磨川に行きませんか?」
というお誘いがあった。

「オーケー行きましょう!」
と即答し、今回の球磨川ダウンリバーが決まりました。



機は熟した。
今このタイミングだったんだな。きっと。

個人的にはマレーシア・キナバル山遠征〜帰国した翌々日にはくじゅう連山テン泊登山、からのその翌日!という、バキバキの(絶好の)スケジュール感だったんですが、兎にも角にも行ってみよう。
話はそれからだ!


タイガー
タイガー

いざ!球磨川!

球磨川ってどんな川?

球磨川は、熊本県南部を流れる一級河川。
水源は、球磨郡水上村の銚子笠(標高1,489m)で、川辺川をはじめとする多くの支流を併せながら、人吉・球磨盆地を貫き八代海に注ぎます。
富士川、最上川と並ぶ「日本三大急流」としても知られています。

人吉・球磨エリアの生活に欠かせない川である一方、令和2年7月豪雨では人吉市を中心に甚大な被害をもたらしました。
恵みをもたらす「母なる川」と、時には激しく牙をむく「暴れ川」という二つの顔を分かちがたく併せ持つ存在であると言えるでしょう。

(以上、AIによる球磨川の概要説明)

はい。
ChatGPTさんにご説明いただきました。


私は以前、川辺川をパックラフトで下った際に、人吉市内をぐるりと歩いて(2022年)、もう本当に球磨川が大好きになってしまっていた。

令和2年、球磨川の氾濫によって流域に暮らす人々の生活は破壊されたが、復興の中心にあるのもまた球磨川だったのだ。
その事実が、しみじみと心に沁みたのである。



そして今年。
2025年。令和で数えると7年。

球磨川名物の川下りや、ラフティングのツアーなども再開し、我々のような個人のパックラフトやカヌー、カヤックの乗り入れもそろそろオーケーな雰囲気が出てきた、ような気がする。
今回、人吉市内の皆さんと話をしていると、とってもウェルカムで、想像以上に温かく迎え入れてくれて驚いた。こっちが勝手に遠慮をしていただけかもしれない。

いや、違うな。
やはりしばらく時間は必要だったし、やっとそういう機運が高まってきたタイミングなのだと思いますよ。うむ。

というわけで、全国の皆さん。
球磨川に是非とも遊びに来てください!
そしてその時には、人吉の温泉に浸かって、球磨の焼酎を呑んでください。
良い旅館があるよ。新しいカフェもあれば老舗の居酒屋もスナックも。

さらに言うならば、私にも一声かけてください。
一緒に川を下りましょう。笑


国道の工事は未だに続いているし、肥薩線の復旧も見通しが立っていない。
そのあたりは留意のこと。



さて。
球磨川である。
(なかなか始まらないフィールドレポート)

いざ、パックラフトで球磨川を下ろうと考えた時に、まず一番に参考にしたのは椎名誠さん率いる怪しい探検隊が出演したテレビ番組「椎名誠と怪しい探検隊(1988年〜)」の第16回放送分。

これをベースに、国土交通省が出している「球磨川の瀬」というPDFファイルも参考にさせてもらった。

球磨川の瀬 >>>
https://www.qsr.mlit.go.jp/yatusiro/site_files/file/river/fukei/natsu03.pdf


それらの情報を念密に、かつ複合的に精査した結果(←んな大袈裟な)が、以下の概略図である。

今回パックラフトで下るコースが決定した。
事前にでんでんさんとやり取りをしていたら、彼も同じようなコースを頭に描いていたようだ。

激流で知られる球磨川の核心部は、渡から球泉洞の区間。

ここに球磨川の五大瀬、つまり熊太郎、高曽、二俣、修理そして網場の五つがある。
これらをパックラフトで下り、そうすることで一番最新の、リアルでナウな球磨川を共有したい。
そんな風に思うわけである。


グーグルマップをお使いの方は、以下も参考にしてみてください。
渡〜球泉洞までの主な瀬にピンを打っていますので。

渡駅付近の川原からスタート

さて。
おはようございます。

くじゅう連山から下山したその足で、人吉市内に移動。
18時過ぎにでんでんさんと合流。

その翌日である。


よく呑み、よく食べ、よく語った。

お互いに車中泊。
私は普段車には乗らないが、前日までのくじゅう連山の登山ツアーで使用するために、会社の車を借りていたのだ。

スタート地点とゴール地点にそれぞれ車をデポする。


そして、ゴール地点の球泉洞付近に車を運んでいる時に、見てしまった。

ゴウゴウと轟く激流が、朝もやの中で眩しく輝いている。
GPSで現在地を確認するまでもない。

「二俣の瀬」である。


(今回は動画もいくつか残しています)

二俣の瀬の圧倒的なパワーに武者震いのタイガー。(おそらくでんでんさんも)

いやはや、こうでなくっちゃ。
球磨川よ。

ついに来たぜ。


球泉洞から渡に戻り、出艇準備。

川岸にできるだけ近づいて、ちょうど川に降りれそうな階段を発見した。
渡駅から少しだけ下流の右岸。

今回は、各々ヘルメットも持参。


五大瀬の一つ、熊太郎の瀬は工事のため近づけず。
これは仕方がない。粛々と辞しました。

工事されている方が、声をかけてくれた。
「どこまで行くとね〜?」

「球泉洞まで行ってきまーす」と応えると、笑顔で見送ってくれた。
やはりウェルカムな雰囲気なんだよな。
そして、みんな球磨川が大好きなのが伝わってくる。


出艇。

肥薩線の土台部分が残されていた。
あの上まで増水した、ということなのか。凄まじい。


球磨川とでんでんさん。

今回、声をかけてくれて本当にありがとうございました。
会うのは2回目だが、既に旧知の仲のようになっている。(と私は感じている)


しばしのんびり。

じっくり球磨川に身体を馴染ませていく。


…と思ったら、すぐに瀬!

こういった名も無き瀬が連続し、なかなかの迫力。
全身に水を浴びて、その冷たさに目が覚める。
気が抜けないのである。

後ほど調べたら、こういった小さな瀬の一つひとつにも、ちゃんと名前が付いているようであった。


そして、五大瀬の一つ「高曽の瀬」は、ぐるっと右にカーブしたその先にある。

カーブの内側と言うかイン側、右岸が広々とした川原になっている。
船を付けて、小休止。

嵐の前の静けさ。


ちなみに、水質は余裕でAランク。

市街地よりも下流に位置する本流で、この透明度は本当にすごいです。
川が大事にされている証拠。

そして、
「綺麗な川には人が集まる」
とは、野田知佑さんの言。

その通りや。


いよいよ五大瀬へ突入

さて、いよいよ五大瀬「高曽の瀬」である。

熊太郎の瀬はパスしたので、我々にとっては一つめ。
さあどうだ。

まずは岸に上がってスカウティング。
ふむ。

流れは繋がって真っ直ぐ流れている。(…ように見える)
水量も充分。
…というか水位低めと聞いていたんだけど、これで…?


高曽の瀬。

もう見るからにグワングワンである。
早めに左に逃げることができれば、と思うでしょう。
そう甘くはないな。笑

これまで見てきた名も無き瀬たちが、ほんと可愛らしく思えてきます。
さすが五大瀬の一つ。
堂々たる風格。


ここで、ジャンケンをし、どちらが先に行くかを決める。
見事、私タイガーが勝利し、先に行かせてもらうことに。


高曽の瀬を下るタイガー。(動画)

こうやって見返すと、途中でバウが左に流れている。
完全に横を向いてしまったら、あっという間に沈していたはず。
危なかった。


そして、でんでんさん。
お見事!


ふたりとも一つめの瀬を越えることができた。
アドレナリンが爆発し、生きている実感がすごい。
サイコーです。


あ、ちなみに今回の装備。

ファイントラックのフラッドラッシュの上下にレインウェア。
足元はアルトラのトレランシューズでした。

この日は30℃近い夏日で、いつもの短パン&サンダルでも良かったな。


そして、ついにやってきました二俣の瀬。
手前の中州に上陸し、おにぎりを頬張る。

さて、ここでもジャンケンをし、先行後攻を決める。
やはり私が勝利し、先に行くことに。笑

よおおおし!
やったるぜー緊張するぜー!


二俣の瀬。
なんとかクリア!

瀬に突入した瞬間にグワンと大きく落ちこんで、目の前が一瞬真っ白な壁になる。
こうやって動画で見てもなかなか伝わらない。

これは是非とも現地で、現場で、確認してください。
ヤベーヨ。


そして、でんでんさんのチャレンジ。

ここで派手に沈!!
ハリツケになることもなく、真っ直ぐ流れてくれて良かった。

二俣の瀬は、基本的に素直に真っ直ぐ流れているという印象。
ただただ、落差とパワーが半端じゃないんすよ。


これが二俣の瀬だ!


でんでんさんは、
「宿題を残してしまったなあ…」
そう言って、笑っていた。

宿題がある人生ってサイコーじゃないですか。
またリベンジしましょう。

どちらにせよ、
球磨川はまた何度でも訪れる川になるであろうことを私は確信していた。


二俣の瀬を越えた後、船内はプール状態になっていた。


さて、五大瀬は残り二つ。


修理(しゅり)の瀬。


二俣の瀬を越えた我々は、球磨川の激流に完全に順応している。
難なくクリア。
(それでも水浸しになるが)


そして、網場(あば)の瀬。

長めの瀬で、右から左から水を浴びることになる。
ここもなかなかの迫力。楽しめた。


「ここは好きな雰囲気だなあ」
そう言って、網場の瀬を眺めるでんでんさん。


五大瀬を全て越えた我々。
あとはゴール地点の球泉洞付近までゆるりと漕ぐのみ。


球磨川は、本当に人工的なあれこれが少なく、ストレスが無かった。
ゴミなんて全く見ていない。

工事の途中だったり、跡だったり、というのはもちろんあるが。


お仕事されている皆さま、本当にお疲れ様です。
お邪魔しました。


ゴール地点に到着。

球泉洞の向かい側(左岸)に、車を数台停めることができるスペースがあった。


約3時間ちょっとの行程でした。


そして旅は続く…

ゴール地点に到着した時点で、
重大トラブル発生。。


ゴール地点に私の車を停めていたのだが、なんと車の鍵をスタート地点のでんでんさんの車の中に置いてきてしまっていた。
つまり、どういうことかというと…


うん。


どうしようもない


ということなのである。
せっかくスタート地点とゴール地点に車をデポしているのに、どうにも動けない。スタート地点に戻れない。
だって、車はあるのに鍵がないから。
つまり、どうしようもない。笑

困った。
なんとかしてスタート地点まで戻らなくてはならないのだが、どうしよう。
スタート地点の渡駅までは約10km。
私のジョグペースでも、走れば片道1時間はかからないが。
さて。

ここで、でんでんさんが、
「俺が行ってみようか、ヒッチハイクも得意だしなんとかなると思う」
そう言って、手ぶらで歩いて行ってしまった。

ふたりで動くよりも、どちらかひとりが動いた方がうまくいきそうだし、私は全てでんでんさんに任せることにした。


「鍵を忘れたのはお前だろ、お前が行けよ!」


そんな声も聞こえてきそうだが、そういうことではないのだ。

「適材適所」ということがあるでしょう。
人間力の高さは、でんでんさんには敵わないわけで。

おそらく、こういったケースでは、自分が行くよりもでんでんさんが行った方が、いろいろとうまくいくような気がしまして。


待つ間、諸々の道具を乾かす。

私にできるのはそれくらいです。笑


しばし待機。
車をロックするのを忘れていたのは不幸中の幸い。もうダメダメやん。笑


結局、でんでんさんは、歩き始めてすぐにローカルのおじいを捕まえて、渡まで車で送ってもらうこと(ヒッチハイク)に成功。
そしてスタート地点の車を回収し、すぐに戻ってきたのである。


うん。
涼しい顔をして戻ってきたでんでんさん。
1時間もかかっていない。

やはり凄まじい人間力や。笑


ここで、でんでんさんが即席ミーゴレンをご馳走してくれるとのこと。

今回、私もそうだし、でんでんさんも旅の途中で、ちょっとした調理器具くらいは車に乗っているのである。


即席ミーゴレン。

でんでんさんが海外を旅している時、箱買いして食べていた思い出の一品のようです。


お湯を沸かして、麺を茹でる!


そして、タレ的なやつを混ぜる!
スパイシー&エスニックな匂いが食欲をソソル!!


どんどん混ぜる!


それから極め付きは、
「さっきコンビニに寄って買ってきました〜」というハラミ的なやつを豪快にドーンと乗せる!!


完成!


食す!
これが本当に美味かった。

私は、この球磨川下りのつい数日前までマレーシアにいたので、本場のミーゴレンを食べていたのだが、それとは全く種類が違う、格別な美味さがあった。

マレーシア旅に持ち込んだ書籍は、椎名誠さんの「十五少年漂流記への旅 -幻の島を探して-」で、その中で、メシのうまさについて言及があった。
つまり、
「うまさとはあくまでも相対的なものであり、その場所、その時期に固定される」

ふむ。
そういうことなんだよな。


でんでんさんがご馳走してくれたスペシャルなミーゴレンを食べていて、マレーシア・キナバル山〜くじゅう連山そして球磨川という、この旅路が美しく完結したことを、私は実感していた。


そうして、我々は別れた。

再開を約束せずとも、どこかで合流するだろう。
またすぐにね。

最高のバディ、でんでんさん。
今回も本当にありがとうございました。


球磨川を望む、人吉球磨のランドマーク。
「HASSENBA」を再訪し、私は福岡に戻りました。



というわけで、
球磨川下りはこれにて終了。

川の魅力がまるで全部詰まっているかのような球磨川。
キラッキラの思い出となりました。
また必ず再訪することでしょう。

球磨川流域がどんな風に変わっていくのか、そして変わらずに在り続けるのか、今後もずっと見ていきたい、ということもある。
それは私もそうだし、今回一緒に川を下ったでんでんさんも同じ気持ちでしょう。
間違いなく。


それではまた。
旅は続くぜ。。


タイガー
タイガー

長文駄文失礼いたしました。


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